インク熟成機

せっかく新しいインクを買ったのに、結局イマイチ好きになれなかったという経験はありませんでしょうか。私は少し前、待望のオレンジインクということで「色彩雫・夕焼け」を買いました。ところが、発色自体は悪くないものの、思ったより薄くて気に入らず、だんだん使わなくなってしまったのです。薄いインクは万年筆らしい趣があって良いのですが、私の場合は濃くて少し粘度のあるものが好みのようです。

そうして、SAILOR プロフェッショナルギア スリムに入れたまましばらく放置していました。すると、ペンの中で水分が飛び、いわゆる熟成した状態になっていたのです。その色たるや、惚れ惚れするほどの濃いオレンジ色。これで一気に「色彩雫・夕焼け」の評価が上がり、あまり好きではなかったプロギアスリムが、その熟成オレンジを入れていたというだけで、これまた一気に気に入ってしまったのです。インクとペンには相関があるんですね。

そんなに気に入ったのなら、「色彩雫・夕焼け」をボトルで熟成させようではないか、そう思いました。しかし、ボトルキャップを外して放置するだけでは、なかなか水分が蒸発してくれません。そこで思いついたのがこんな強引な方法です。「インク熟成機」ことウチで使っている除湿機の送風口にキャップを外したインクボトルを置き、適当な本で蓋をする、それだけです。


そうすると、トータル5、6時間ほどで1/3ほど濃縮された状態になりました。瓶を回して眺めるだけでいい色になっていることが見て取れます。素晴らしいです。インクにとってはよろしくない方法かもしれませんが、手っ取り早く水分を飛ばすにはもってこいです。「次の日の朝のカレー」ばりのインクの味わい方もアリだと思いますよ。

2009年5月8日 初出

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