Pelikan M1000

スペック

長さ:収納時全長約146mm・キャップ長約70mm・本体のみ筆記時約136mm・キャップ装着筆記時約177mm
太さ:最大径約15.5mm・軸径約14mm
重さ:全体約33g・キャップのみ約9g
インク補充方式:ピストン吸入式・容量約1.5cc
定価:68,250円 (税込・2007年12月現在)

特徴

ペリカン スーベレーン M1000 の概観的な特徴は、やや野暮ったさを感じる素直な円筒形のフォルムと、大きく細長いニブにあります。軸色は他に黒がありますが、この緑縞がペリカンの定番です。モンブラン マイスターシュテュック 149 と並ぶ万年筆の両雄でありながら、その性格は対極。149 が究極の実用品なのに対し、M1000 は究極の嗜好品とも言えます。

ニブは現行の量産品の中では最も柔らかいと言われており、まさに「ふわふわ」な究極の書き心地を体感させてくれます。この特徴を生かすためにも、ぜひ B 以上の太めのニブで使いたいもの。平研ぎの太ニブとその柔らかで繊細な書き味は、文字を、文章を書く楽しみを与えてくれます。インクは吸入式なので、インク消費量が多い太ニブでも安心です。吸入式なのでメンテナンスはしやすいのですが、縞軸は水に強くはないため丸ごと水に漬けっぱなしにすることは避けるべきです。ニブがユニットごと比較的簡単に取り外せますので、慣れた人はニブユニットを外して洗うこともできます。

そんな M1000 は万年筆通をも唸らせる1本で、評価も非常に高いです。が、その究極の書き味を引き出すにはある程度の「慣れ」が必要です。また、平研ぎかつニブポイントの内側がやや丸められがちなので、現行の新品では書き出し時にインクが出ない(書き出し時の掠れ、空振り、スキップなどと言われる)場合があることも有名です。この点を注意する必要はありますが、何と言っても究極の書き味は魅力です。

インプレッション

私は、主にノートに研究のアイデアを書き出す目的でモンブラン 149 の F ニブを使っているので、より万年筆万年筆したモノを、ということで M1000 では B ニブを購入しました。インクを入れて最初に書いたときは、そのあまりのふわふわさに思わず「すげー」と叫んだ程です。もちろん、購入前に(別の個体ですが)試し書きはしていましたが、ここまでふわふわとは思いませんでした。インクフローも潤沢で、どばどば・ぬらぬらと書けるのは快感です。

しかし、使っているとすぐに書き出しで掠れが出るようになりました。これを恐れていたんですよね。でも、平研ぎのニブは初めてながら、良い持ち方をしているという自負もあり、筆記角度も問題ないはずなんです。そして、いわゆる馬尻というほどもニブポイントの内側が丸められているわけでもなさそうなので、すぐに調整には出さず、書きまくって慣らすことにしました。やはり10日ほど使ってみると、書き出しの掠れが出る頻度はかなり減ってきました。紙とニブポイントのアタリの角度がまだシビアすぎるような気もしますが、このまま使っていくと確実に良くなる手ごたえを感じました。使っていると、太字というのもやっぱり良いですね。

インクは、最初ペリカンのロイヤルブルーを使っていました。濃淡がハッキリ出て、とても万年筆らしい筆致を感じ満足していたんですが、色の薄さにどんどん不満が出てきました。同じロイヤルブルーでもモンブランの方が濃く、色味も好きなんです。でも同じインクでは面白くないので、今度はモンブランのレーシンググリーンを入れてみました。これが大当たりで、物凄く気に入っています。しばらくはこれでいこうと思います。

マイ・ストーリー

モンブラン 149 で完全に万年筆という筆記具にハマってしまった私は、(いつものことですが)取り憑かれたようにその世界へ足を踏み入れていきました。恥ずかしながら、今まではペリカンの「ぺ」の字も知らなかったのですが、ペリカンの M1000 に到達するまではほとんど時間はかかりませんでした。あの 149 と肩を並べる万年筆で、しかもポリシーが正反対。さらに「通」からは大絶賛されているとあれば、欲しくなりますよねぇ。

万年筆にハマっていくと、やっぱりどんどん欲しくなってくるんです。でも、万年筆という筆記具は、その名が示すとおり長く使えるものでかつ長く使ってこそ真価が発揮される道具です。ならば、最初から最高峰をということで 149 を買いました。でも、サイン・宛名など別の用途には太いニブがいい、万年筆の醍醐味は太字、最高峰は1本だけではなかった(つまり 149 と M1000)ということで、M1000 にロックオン。調べれば調べるほど、M1000 は太いニブで使いたい、そして緑縞の軸が欲しい、と盛り上がってしまい、へそくりをかき集めて「ぽちっとな」してしまいました。結果、この最高峰2本体制に大満足するとともに、今まで使ってた筆記具を全て万年筆に切り替えたい欲望がメラメラと出てきてしまったのでした。

購入先

懐具合が寂しいにもかかわらずどうしても欲しくなってしまった時の頼みの綱はやはりネットショップですよね。有名文具店(万年筆専門店は除く)で購入する場合でも、購入前に店頭で個体差を精査して大正解の1本を選ぶことは困難なので、通販でも問題ないと思い込みました。事前に店頭で試し書きをさせてもらって欲しいニブの太さを再確認していましたので、あとは値段や評判などを丹念に調べ、購入先をモリソン万年筆に決定しました。かなりお安く買えたと思いますよ。

2007年12月9日 初出 / 12月15日 改訂

Signature